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2014.02.24

フェブラリーS、結果とほぞかみ

 結果は……あっけらか~んで当然の不的中(^.^)
 1着―田 辺 13コパノリッキー………[?] 単勝=272.01
 2着― 幸  15ホッコータルマエ……[○]
 3着―デムー 11ペルシャザール………[◎]
 4着―戸崎圭 06ノーザンリバー………[?]
 枠連=7-8=105.6 馬連=13-15=843.8 馬単=2560.5
 3連複=13-15-11=553.6 3連単=9491.2
 ワイド12=157.6 W13=148.9 W23=2.4

※ フェブラリーS、ご覧になりましたか。驚きましたねえ。
 私はいつものようにいとこの家でテレビ観戦。直線中頃に来てホッコータルマエとコパノリッキーの脚色が同じなので、
「こりゃあやばいなあ。13残るんじゃない?」と案じたとおりの結果に……二人しばし口をあんぐり開けて脱力しておりました(^.^)。

 いとこは騎手や馬主から単勝万馬券を年に1回は獲る人なので、
「買ったんじゃない?」と聞きましたが、「さすがにそこまで回らんかった」との返事でした。
 勝った田辺騎手はGI初勝利とか。おめでとうございます。
 それにしても、一体誰が単勝200倍超、ダントツ最低人気馬の単勝を買うでしょうか。誰がその馬に流すでしょうか。

 終わった後、「昔の自分だったら◎○→総流しで3複5万が獲れていたなあ」と思いました。が、これは結果論。今は4頭に絞るのが目標です。
 3複の軸として(馬連1、2番人気ながら)ホッコーとペルシャザールを抜擢したことは間違っていませんでした。
 しかし、コパノリッキーには流せない。オッズを見れば買えない、買わない。オッズを見ないときだって買えません(-.-)。

 ただ、終了後歩いて帰りながら、私はなんとなく心が弾んでいました。
 それはある意味ウラ予想の見解が当たっていたからです。穴を開けるなら逃げ馬と見てウラ●は05エーシントップ。
 そして、東京土曜ダート16のヒヤシンスSで逃げ馬と2番手先行の馬が大穴を開けた。そのようなことが起こるかもと、馬券は[05→11 15]の3頭に絞りました。
 本紙ではワイド・3複の買い目だけでしたが、個人的にはもちろん馬連・3単も買っていました。

 ドブ捨て馬券だろうと思ったけれど、2番手先行のコパノリッキーが残って相手は15、11でした。ればたらはないとは言え、05が11だったら、ウラ馬券3頭完全的中だったのです。
 残念ながら逃げたエーシントップは最下位惨敗だったから、文字通りドブ捨て馬券となりました。しかし、「こういうまさか馬券があり得るんだ。宝くじ馬券はやっぱり予想して買わなきゃ獲れない」と内心わくわくするような気持ちも生まれたのです(^_^)。

 では、コパノリッキーに買える要素はあるか。あったのか、と帰宅後馬柱や実績一覧表の諸数値とにらめっこしました。

 結論は……「なーんにもありません」でした(^_^;)。
 同馬は全成績[4013]、ダート[4013]。16ダートは1戦3着、東京コース[1011]でごくごく普通の成績。そして、単なる先行タイプ……たとえば、常に2番手先行なら狙いようもあったのですが、そうではありません。これではそれ以上の実績馬がぞろぞろいます。

 強いて言うなら[4歳馬]でしょうか。4歳馬は16頭中4頭出走していました。
 過去10年データでは4歳馬[341]、5歳[512]に続く成績です(6歳[214]、7歳[043])。4歳馬から1頭絡んで不思議ではありませんでした。
 今回2着ホッコータルマエが5歳、ペルシャザールが6歳だから、[15→11→4歳馬4頭]で馬券を組めば、4点で3連複が獲れました(古馬GI戦でいつもやっている年齢構成別予想をしなかったことを今後悔しています(^_^;)。

 今回異常だったことは7歳馬8歳馬が半数の8頭を占めたことで、そこそこの人気を集めていました。結果、4着も6歳馬、5着も5歳馬が入って高齢馬8頭は全滅でした。しかし、過去10年[043]のデータでは7歳馬にも流すでしょう。

 ただ、今になって振り返れば、オッズを見なければ4歳馬から2頭に絞ることは不可能でなかったことに気が付きました。

 今回ダート16のレースなのに、前走ダート16を走った馬は1頭もいませんでした(これはダート16が東京しかないので、ある意味当然なのですが)。
 その結果、前走で最も多かったのはダート14を走った馬たちで計9頭いました。この連中(連馬)は4着が最高着順でした。
 残り7頭のうちダート18が5頭。ダート21が15ホッコータルマエ(6歳)、ダート20が04ワンダーアキュート(8歳)でした。後者2頭から選べば当然ホッコータルマエになります。
 そして、ダート18出走馬5頭を挙げると以下の通り。
 034歳ソロル
 077歳ニホンピロアワーズ
 087歳グランドシチー
 116歳ペルシャザール――3着
 134歳コパノリッキー――1着

 ここからJCD1着馬ペルシャザールは当然取り上げる。残り4頭の中で4歳馬は2頭、ソロルとコパノリッキー。
 つまり、4歳馬4頭を前走出走別に見れば、ダート14の02、05とダート18の03、13に分けられたわけです。どちらを重視するかは(過去データからも)ダート18出走馬であることは明白です。これによって4歳馬4頭をソロルとコパノリッキーの2頭に絞れたかもしれません。
 でも、実オッズを見たら、たぶんどちらもカットしただろうと思います。そして、終わってぎりぎりほぞを噛んだことでしょう(^.^)。

 今後記憶に留めたいのはこのような極端な年齢構成、極端な前走距離別構成になったら「怪しい」と思って冷静に検討すべきかもしれません。

 ○ ドブ捨ての馬券もいわば宝くじ くじけず買えば億万長者?

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 最後まで読んでいただきありがとうございました。(御影祐)

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2014.02.22

フェブラリーS、直前予想

 ご無沙汰いたしております。毎度ほぞ噛みの御影祐です(^_^)。
 厳寒狂春豪雪の1、2月をどのように乗り切られたでしょうか。2度目の豪雪で関東地方は大変だったようです。この場を借りてお見舞い申し上げます。

 また、喜怒哀楽の冬季オリンピックも始まったかと思ったら、もう閉会式です。ほんに時の経つのは早いもの。
 競馬も先日有馬が終わったと思ったら、早くもGIの開催。今年こそは当てて当てて連戦連勝といきたいものです(^_^)。

 その後「実績一覧表」の精度をあげるべくいろいろやっていますが、単純4頭馬券になかなか到達しません。本格GI開始までには完成させたいと思っています。
 なお、今回は別件で多忙もあってオッズ分析は割愛させていただきます。

 さて、明日のフェブラリーS。ダート巧者(馬)が揃いました。
 まずは私の週中予想を披露します。
 年齢、その他全く無視して以下4強の激突と見ました。
 1 統一GI連勝中、近10戦[8110]の15ホッコータルマエ。
 2 昨年のGIJCD勝ち馬、目下ダート3連勝の11ペルシャザール。
 3 前走G2東海Sを復活の優勝、近10戦[4411]の07ニホンピロアワーズ。
 4 昨年のJCD2着、目下統一GI3連続2着、近10戦[2530]の04ワンダーアキュート。

 この4頭の中ではペルシャザールのみ、近10走[4123]ですが、過去5走ならGI勝ち含む[4110]で文句なし。
 この4頭、年齢を見ると5、6、7、8歳ときれいに分かれました。最も不利な8歳馬が04武豊ワンダーアキュート。しかし、昨年のフェブラリーSでは8歳馬のエスポワールシチーが9番人気ながら2着に入りました。
 というわけで、私はまずとても単純な馬券――この4頭の3連復を買います(^_^)。
 これが週半ばに馬柱を見ての直感予想でした。

 その後枠順が確定して「実績一覧表」を作り、さらに土曜前日オッズも見て「あれま」と意外な点が見え、迷いが始まりました(^_^;)。一覧表もオッズも4強になるだろうと思ったのに、ならなかったからです。
 まずはいつもの「実績一覧表」です。

 【GIフェブラリーS 実績一覧表】 東京 ダ16 16頭(全牡)

順年齢番馬  名- 値=ダート距離
A5歳15ホッコータ-160=ダ優 距離優 コース1戦V 
B7歳09アドマイヤ-138=ダ優 距離優 コース優4433 D16TX
C4歳02ベストウォ-138=ダ優 距離優 優2010 3FB D14TX GI1戦5着?
D7歳07ニホンピロ-102=ダ優 距離初?コース初?
E8歳04ワンダーア-102=ダ良 距離優
F6歳06ノーザンリ- 92=
G7歳01ゴールスキ- 92=3FA 距離?
H6歳11ペルシャザ- 88=ダ優 距離1戦V 前GIV 3連勝
QA8歳16シルクフォ- 86=3FC
QB4歳03ソ ロ ル- 84=ダ優 D18TX
QC7歳08グランドシ- 80=
QD5歳12ブライトラ- 74=ダ良
QE8歳14ダノンカモ- 70=距離良
QF7歳10ドリームバ- 58=
QG4歳05エーシント- 44=
QH4歳13コパノリッ- 36=

 一覧表を見ると、意外にも4強の一角ペルシャザールは8番手でした。そして、ベスト5に09アドマイヤロイヤルと02ベストウォーリアが入っています。ベスト5の値は全馬100を超えており、レベルの高さがうかがえます。

 次に一覧表ベスト5と8位ペルシャザールの前日馬順オッズを並記すると以下の通り。
 A5歳15ホッコータ-160=2
 B7歳09アドマイヤ-138=8
 C4歳02ベストウォ-138=3
 D7歳07ニホンピロ-102=5
 E8歳04ワンダーア-102=4
 H6歳11ペルシャザ- 88=1

 これで5番人気まで独占です。アドマイヤロイヤルの人気がないのは前走根岸S5着だからでしょうか。なんとなくウラ●にしたくなります(^.^)。

 さて、ここで結論です(^_^)。表馬券はこの6頭で組みたいと思います。
 印の前にこれまで実績一覧表を見てきた傾向として次のようなことが言えます。
 それは《数値が100を超える馬が3頭以上いる場合、その中だけで123着馬が出ることはまれで、むしろそれ以外の馬が1頭は絡む。その馬は中位、下位の馬で実オッズ上位人気であることが多い》という傾向です。

 これに従えば、◎軸は11ペルシャザールとなります。東京ダート16もG3を1戦1着だし、勝って不思議なし。気がかりは12月JCD1着以来である点ですが、過去データで4勝の例があるので、大丈夫だと思います。

 次にベスト5で割引したいのは距離初、コース初の07ニホンピロアワーズ。3戦連続2着で8歳馬の04ワンダーアキュート。4歳馬02ベストウォーリア、09アドマイヤロイヤルはGI実績のなさが気にかかります。よってこの4頭みな△。
 となれば、単純すぎるけれど残るのは15ホッコータルマエのみで同馬が○。3連系は◎→○から△4頭に絞ります。
 ただ、ホッコータルマエは逃げ先行なのに、大外に入りました。前半無理をすると、ずるずる3着、下手すると……もあり得るので、◎→△4頭流しの3連複も追加しておきます。

 よって表の買い目は
 3連複=11 15 07 04 BOX
 単 勝=11ペルシャザール
 馬連単=11→15 ; 09 02 07 04
 3連複=11→15→09 02 07 04
 3連単=11→15→09 02 07 04[15番の2着、3着付け]
 3連複=11→09 02 07 04

 さて今年初のウラ●です。
 人気薄の単勝軸として買ってみたい09アドマイヤロイヤルですが、GI実績のなさが引っかかってウラ●にする気が起きませんでした。
 だけでなく、その他の馬もぴんと来ません。上がりがいいのは02ベストウォーリアの他に01ゴールスキーと16シルクフォーチュンですが、ゴールスキーはダート16が初で、東京コース[2018]と不良。シルクフォーチュンは8歳馬で「終わったかな?」と思います。

 どうにも単勝軸のウラ●が見つからないので、ウラ馬券はなしにしたいのですが、まさかの超穴馬を1頭だけ挙げておきます。
 それは05エーシントップです。前夜単勝12番人気(^_^;)。芝に見切りをつけてダートに転向。ダ14ばかり3戦して1→5→14着。とても買えたもんじゃない感じです。
 しかし、同馬は3歳時東京芝マイルG2ニュージーランドトロフィーを勝っています。また、東京の安田記念にも出て(ロードカナロアの17着大敗ながら)タイムは1329と秀逸でした。このタイムで東京芝16を走れるなら、ダートマイルを1350前後で走れてもいいと思います。すんなりハナを取れればと思ってウラ●に。
 と週中考えて「ひそかに狙おう(^.^)」と思っていたら、土曜東京競馬10レース――ダート16のヒヤシンスSで逃げた8番人気が2着、2番手先行の12番人気がまさかの1着(単勝61倍、3着1番人気で3単54万馬券)が出てしまいました。ほげ。
 これ見なきゃ、エーシントップをウラの単勝軸にしたのですが(^.^)。同じことは二日続きませんからね。まー損失は最低限にということで、複勝と表の◎○に流します。

 よってウラの買い目は
 複 勝=05エーシントップ
 ワイド=05→11 15
 3連複=05→11 15

 さて結果は?

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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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2014.02.20

狂短歌ジンセー論[162号]――悲しき表現者 その1

 先月から今月は話題豊富な一ヶ月でしたね。
 今号はそれらを振り返りつつ、本論はこんな「(-.-)」顔文字になる二つの話題を取り上げたいと思います。キーワードは「現代のベートーベン」と「人間のクズ」発言です。いつものように長くなったので、2回に分けて配信いたします。
 ところで、念のため漢字の読みを一つ。「破綻」は「はたん」と読みます。

 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ いつからか小さなうそが大うそに されど気づかずうそを続ける

-------------
 (^O^)ゆとりある人のための30分エッセー(^O^)

 【悲しき表現者 その1】
 
 厳寒から春のような陽気になったと思ったら、一転また極寒となり、関東では数十年ぶりの大雪でした。
 なおかつ大雪は一度で終わらず、先週さらに激しい豪雪で車の立ち往生、集落の孤立化など関東は大変な事態になっていました。被害にあわれた方、この場を借りてお見舞い申し上げます。
 ちなみに、九州ながら内陸にある私の実家周辺も積雪30センチでした。生まれて初めて雪下ろしをやって屋根から落ちかけました(^_^;)。

 この間冬季オリンピックも始まりました。そのせいか早くも忘却の彼方といった気配ですが、先月は嬉しい話題満載でした。
 まずローザンヌ国際バレエコンクールで日本人高校生が1位、2位、6位に入るという快挙。次にiPS細胞に続くSTAP(スタップ)細胞を発見したのは若き日本人リケ女でした。こちらはとても簡単な方法なのに、今まで誰も気づかず、バカにされ無視されたのを跳ね返した点が喝采ものでした。彼女はファッションに気を遣い、おばあちゃんの割烹着を実験服にしているユニークな女性でもありました(^_^)。

 そして、ソチ冬季オリンピックが始まり、早くも閉会式を迎えます。開始前はメダル有力候補にプレッシャーをかけまくる相変わらずのメディアと、「メダルじゃなきゃ意味がない」みたいながっかり報道や感性にうんざりしつつ、日本選手がメダルを獲ってくれれば「よっしゃあ!」と叫ぶ自分がいたりして(^_^)……四年に一度のオリンピックはやはり面白いですね。

 日本最初の銀と銅を獲ったのはハーフパイプ十代の二人。初の金メダルも男子フィギュア十九歳の若者でした。これら十代、二十代の活躍は《ゆとり教育》が生みだしたのでしょうか(^_^)。

 いずれも明るい気持ちにさせてくれるお話としてメルマガに書きたい材料ばかりですが、ここは敢えて別の話題を取り上げたいと思います。ともに創作家・表現者として悲しい事例でした。
 一つは「現代のベートーベン」と賞賛された全聾の作曲家の作品が代作であったこと。もう一つはある著名作家が東京都知事選の応援演説で発した「他の候補はみな人間のクズだ」発言です(-.-)。こちらは四十代、五十代の不甲斐なさと言ったら、言い過ぎでしょうか。

 被爆二世で全聾の作曲家がヒロシマをテーマに交響曲を作った。その作品を聴いたとき、私も感銘を受けた一人です。NHKスペシャルも見ました。
 それがゴーストライターによる作品だったと知って少なからずショックを受けました。全聾でさえ嘘偽りであるなら、だまされていたことは間違いなく、「ペテン師」と非難するのもうなずけます。

 悲しいのは「私は共犯者です」と告白したゴーストライター氏です。十八年前から作品を提供していたとか。そのとき彼は二十代です。今四十代の彼がとぎれとぎれに語る様子はいかにも地味でした。こつこつ地道に作品を作る人は得てしてカリスマ性のある、宣伝力豊富な人に負けます。自分の作品を売って有名にしてくれるなら、ゴーストライターでも構わないと思ったのでしょうか。

 芸術には制作者本人がどのような人間――家族を犠牲にしても作品制作にのめりこむ人、あるいは極悪非道の人間――であろうと完成品が素晴らしければ、人の感動を呼び、賞賛されるところがあります。あの交響曲は作品そのものとして素晴らしいと思うし、だからこそ多くの人を感動させたのだと思います。彼はゴーストライターとしてでなく、自作として発表できなかったのだろうかと思います。

 その一方、私も小説やエッセーを書き、趣味で作った作曲集をホームページに公開している身として彼の心境は痛いほどわかります。自分ではどんなに良い作品だと思っても、売れない、売れそうにない、多くの人の目や耳に触れることなく埋没している……そう思ったとき、何か方法はないか。それが不正なこととわかっていても、手を出してしまう。それは表現者として抑えようのない欲求みたいなものかもしれません。
 芸術家に作家、一芸に秀でた職人など、力があっても宣伝する能力がない。作るだけで精一杯でそんな余裕はない人。一方、創作の力はないけれど、宣伝するのは巧みな人。その二人が出会ったと言えるかもしれません。

 ただ、私には彼らを「うそつき、ペテン師」として糾弾する気持ちが湧きませんでした。
 キリストの言葉として「あなた方の中で罪を犯したことのない者が、この者に石を投げなさい」とあるように、かつてうそをついたことのない人がいるだろうか。
 「そりゃあ、うそをついたことはある。でも、利益を得たことはないよ」と言うなら、たとえば、農業漁業に従事する人で収穫したものは全て正直に申告しているだろうか。小売業で売り上げをごまかしたことのない人はいるだろうか。公務員で仕事をさぼったことのない人はいるだろうか。めんどうな仕事が舞い込むと、うそに近い理由をつけてやらなかったことはないだろうか。
 アイドルなら年齢やスリーサイズをごまかし、雑誌記者ならでっちあげや、いいかげんな記事を書いたことのない人はいるだろうか。それは全て自分が楽したいからであり、売らんがためであり、利益を得るための《小さなうそ》ではないだろうか。この程度なら「許される」と自分で決めていないだろうか。

 こう書くと、「それを言っちゃあ、振り込め詐欺師でもストーカー殺人犯でも何でも許さなきゃならなくなる」と言われそうです。
 でも、どこか引っかかります。彼は被爆二世だった。それは間違いのない事実。聴覚障害も全聾でなくとも、難聴だったのではないか。彼は二十代の頃歌手志望で、一時は有名ロック歌手の後を継げる逸材と評価されていたそうです。しかし、彼はその道に進まなかった。進めなかったのかもしれません。難聴がその頃始まったなら、ミュージシャンにはなれないでしょう。そして、うそをつく人生を歩んでしまった。
 そこに見えるのは心の弱さです。重荷を背負っている自分はうそをついてもいい。弱い自分が生きていくためにはうそをついても許されると思ったのではないでしょうか。

 私は他ならぬ自分自身を振り返ります。私は十代の頃自分が精神的に弱々しくてしばしばうそをついていたことを思い出します。中には人を喜ばせるためについた道化的なうそもあって太宰治に惹かれたのもその頃です。あるいは、人を傷つけないためにつくうそもありました。

 その傾向は二十代になって高校教員になっても続いていました。そして、三十歳を前にして私は取り返しのつかないうそをついて両親を苦しめました(この内容はいずれ書きたいと思います)。
 そのとき私のうそを知った父は電話口で泣きました。父は強い人でした。私を殴ったことはないけれど、何かあれば、強い口調で叱責する人でした。私はこれまでのように父から激しく叱られるだろうと思いました。
 ところが、父は電話口で怒ることも叱ることもなく、ただ泣きました。そのときようやく「自分はなんてひどいことをしたんだろう」と自覚したのです。

 それ以来です。自分の弱さを理由にしてうそをつくのはやめようと思ったのは。小さなうその積み重ねはやがて大きなうそも平気でつくような人間になってしまう。そして、それがばれたとき人を傷つけ、深く悲しませる――それは間違いのないことでしょう。
 おそらくうそをついたことのない人はいない。《小さなうそ》で利益を得たことのない人もいないと思います。ただ、人を傷つけるような大きなうそはつかないようにしたい。そう思って生きたいと思っています。

 くだんの「現代のベートーベン」氏はその後直筆ファックスで謝罪しました。彼はこれからうそをつかない人生を歩んでくれると信じたいし、あの作品は作品そのものとして後世に残ってほしいなと思います。

 ○ うそをつく生き様いつか破綻して 人は傷つき深く悲しむ

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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:全くうそをつかないのは不可能でしょう。では、心の中を全てぶちまけて生きることは正直な生き方と言えるのか。次号はそこのところを掘り下げたいと思います。

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