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2015.01.15

狂短歌ジンセー論[171号]――陽気なバーガーマン

 遅ればせながら、2015年明けましておめでとうございます。
 今年も狂短歌人生論をよろしくお願いいたします。 m(. .)m

 みなさん方はテレビ東京系の番組「ユーは何しに日本へ」をご存じでしょうか。私はたまにつけると、つい見入ってしまいます。基本的に単なる観光ではない外国人が紹介され、彼らによって私たちが知らない日本の伝統や習慣、技能が明かされます。何より《ユー》は底抜けに明るい人たちが多くて面白いです(^_^)。
 2015年初っぱなの話題として先月そこで紹介された陽気な外国人を取り上げたいと思います。
 彼はただハンバーガーを食べるためだけに来日するのです。バーガーマンとでも呼びたいくらいハンバーガーのとりこでした(^_^)。

 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ Sバーガーそれのみ求め来日の 彼は陽気なバーガーマン(^o^)

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 (^O^)ゆとりある人のための10分エッセー(^O^)

 【 陽気なバーガーマン 】

 その日成田空港に到着した《ユー》はちょっと太ってラフな格好をしたオーストラリアの若者だった。恒例の「ユーは何しに日本へ?」と聞かれ、彼は仕事でも観光でもなく、ただ「Sバーガーを食べに来た」と言う。Sは九州某県の地名で、うまいと評判のハンバーガーだ。
 取材班は珍しいと思ったのだろう、密着取材を申し込み、彼は快く応じた。

 その後東京や大阪などのハンバーガーショップをめぐる。席に着くと、にこにこしながら「サンデー、マンデー、○○ボー、チューズデー、ウェンズデー、○○ボー」と歌う(^_^)。どうも自国では音楽系の仕事をしているようだ。
 目指すバーガーショップがある駅を降りると「こちらだ」と言ってすたすた歩き出す。何分後かには間違いなく目指す店を発見する。スタッフが「よくわかりますねえ」と聞くと、「匂いでわかるんだ」と言ってすましている。後でわかったけれど、どうもネットで場所を確認していたようだ。

 感心したのは彼の食べ方。一日一個しか食べない。つまり、一日一店しか行かない。はるばる日本まで来て一日一ヶとは、もったいないと言うか、ぜいたくと言うか(^.^)。私なら、何かを目指して行けば、それも食べ(いくつも食べ)、なおかつ観光もしようと思うだろう。
 しかも、注文はレギュラーサイズのみ。そこそこ太っていたから、大きなやつを食べそうに見える。ところが、店員が「ラージにしますか」と言っても「レギュラーでいい」と応じない。
 もちろん食べるときには「うまい、うまい!」と言ってにこにこしながら食べる。
 レギュラーなのにすごく分厚いハンバーガーが出て、店の人が「10数える間押さえてそれから食べてください」と言った。
 すると、日本語で「10、9、8、7、……1。ゴー!」と言ってかぶりつく。素晴らしい(^o^)。

 とてもおいしそうで、私もハンバーガーを食べたくなった。それは他の人も同じようで、二度目に来日してまたスタッフとハンバーガーショップをめぐったとき、彼はすでに有名人だった。店員から「あの放映以降、お客さんが増えました」とありがたがられていた。
 ところが、彼には一つ問題がある。オニオンが嫌いなのだ。いつも「オニオンを抜いて」と注文していた。

 二度目の密着取材でいろいろなことがわかった。
 彼は子どもの頃、家で毎週一回だけ、ハンバーガーが食べられた。それは彼にとって大のごちそうで、大きくなったら「毎日食べたい」と思っていたそうだ。
 大人となった今は働いているし、いくつでも、毎日でも食べられるだろう。しかし、一日一個と決めている。自国でもおそらく毎日食べていないのではないか。3日に1回かもしれない。決して限度を超えないといった感じで、これまた感心した。

 ここで私は「おじゃる丸」のプリンと、芥川龍之介の短編『芋粥(いもがゆ)』を思い出した(^_^)。
 Eテレアニメの『おじゃる丸』は好きでよく見ている。子どもよりむしろ大人に見てほしいアニメだ。おじゃる丸の大好物はプリン。これも一日一個と決められている。平安時代にはない滋味珍味だから、ほんとは一日何個でも食べたいけれど、おじゃる丸は我慢している。

 私にもプリンと関連した思い出がある。大学時代、隣の部屋に住んでいた同級生の男もプリンが大好きでよく食べていた(伏線として下宿の風呂は鉄釜の五右衛門風呂だったことを付け加えておく)。

 ある日彼の部屋で雑談中プリンをおごってくれた。冷蔵庫にあった2ヶのプリンを1ヶずつ食べた後、彼は容器をしみじみ見ながら次のように言った(ほんとは2ヶ食べたかったのだろう)。
「俺はあの五右衛門風呂でプリンをなみなみとつくってその中に入ってがぶがぶ食べたいんだ」と(^.^)。
 私が何と答えたか忘れたけれど、『芋粥』の話をしたことを覚えている。
 そして、「その夢がかなうと、もう二度とプリンを食べたいと思わなくなるよ」と諭したものだ(この意味がわからない人は『芋粥』を読んでください)。

 話を元に戻すと、二度目の来日でも、ある店で分厚いハンバーガーが出された。
 やはり「十秒押さえて」と言われると、今度は「1、2、3」と初めから数え出した。もちろん日本語で。
 おやと思ったら、「……6、7、ハラ、ジュー、クー!」と言ってかぶりついた。
 このユーモアのセンス。「なんて素晴らしいやつだ(^o^)」とまた感心した。

 ここで新たに「Aバーガー」が登場した。大阪と四国の間にある島の名を冠したハンバーガーだ。私はもちろんスタッフも初耳だったようだ。
 バーガーマンによると、ネットで「これが一番うまい」と書かれていた。彼はそれを食べてSバーガーとどちらがうまいか確認したいという。ならば、A島に行くのかと思ったら、店は西宮にあるらしい。

 翌日スタッフと落ち合ってその店へ行った。駅を出ると、やはり迷うことなくそちらへ向かい、小さな店を「あそこだ」と指し示した。高架や建物の間に隠れてよく見つけるなと思えるほど地味な店だった。
 中に入ると、注文前に主人としばし言葉を交わした。兵庫県は全国3位のタマネギ生産地で、そのうち95パーセントがA島産だという。Aバーガーはそのタマネギを炒めてはさむ。それが売りだった。
 それを聞いて彼の顔色がちょっと変わった。彼はオニオン大嫌いだ。

 スタッフが「オニオンどうしますか?」と聞いた。
 彼は「もちろんオニオン入りで」と答えて注文した。
 そして、食べ終わると「おいしかった」と言ったから面白い(^_^)。
 オニオン嫌いは克服されたかもしれない(もっとも、あのタマネギはとろとろに炒められていた。生に近いオニオンはおそらく無理だろう)。
 にせよ、オニオン入りバーガーに挑戦した彼の勇気に感服した。ちなみに、SバーガーとAバーガーのうまさ比べでは「やっぱりSバーガー」と言っていた……。

 あの放映を見た人はどう感じただろうか。「なにやってるの?」と思ったか。せっかく外国(日本)に来ているのに、観光もせず、ただハンバーガーショップを回り、一日一ヶハンバーガーを食べて帰るだけ。
 世界では貧しい子どもたちが困っている。戦争が絶えず、テロリストが横行している。「高邁(こうまい)な夢も理想も持たずに。何だ、その生き方は!」と叱責されるかもしれない。

 だが、私はとても感動した。確かに高く貴き理想も夢もない。ひたすらハンバーガーが好きで、そのためだけに生きているかのような人生だ。
 しかし、あの生き方には争いがない。ひたすら好きなことをやっている彼は人が好きなことをやることを「それはダメだ」と決して言わないだろう。俺と同じことをやれとも言わない。全ての人があの生き方をすれば、争いと戦争などなくなるような気がする。

 小さな幸福を求めて生きる――それが私たちのごく普通の願いではないだろうか。多くの人は日々働いて食べるものがあり、住むところがあって家庭を持ったり、子どもを育てて平和に一日が終わること、平穏に一生が終わることが願いなんだ。そんな小さな幸福があれば、充分満足できる。それをあの大震災が教えてくれた。
 あるいは、争いと戦争を引き起こしているのは人間の大きな主義とか宗教とか、世界を一つにまとめようとか、そんな高邁な理想なのかもしれない。

 Sバーガーが好きで好きで、ただそのためだけに来日してハンバーガーを食べて帰る。自国で働いて金を稼いで、またバーガーを食べるためだけに来日する。彼はそれを心から楽しんでいる。小さくて些細で、人からは何やってんのと言われかねないけれど、彼は純粋にそれを楽しんでいる。
 ちょっと大げさだけれど、私には壮大な人生賛歌のように思えた(^_^)。

 ○ 小さくとも やりたいことをただやれば 大満足の人生賛歌(^o^)

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 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:芥川龍之介の『芋粥』はネットの「青空文庫」で読むことができます。
 今回読み直してまた好きになりました(^_^)。
 『芋粥』→『芋粥』

 なお、選挙後の[得票率に基づく正しい議席数]報告は「後記」ではなく、次号の本題として取り上げることにしました。

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2015.01.11

狂短歌ジンセー論[170号]――『般若心経』講話完成

 昨年11月からずっと《空海の最終境地》を説明する「『般若心経』講話」を書いていました。
 それが先月末にようやく完成して御影祐のホームページにアップしましたので、そのお知らせと「導入部」を紹介いたします。
 我ながら渾身の《般若心経解釈》ができあがったと自負しています。ぜひドアを開けて入ってみてください。
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 (^_^)本日の狂短歌(^_^)

 ○ 空海の最終境地解き明かす 『般若心経』 コインの表

 (^O^) ゆとりある人のための10分エッセー (^O^)

【『般若心経』講話――完成のお知らせ 】

 本欄は『般若心経』について解説するコーナーです。
 しかし、各語句の説明は省略したので、初心者向きではありません。すでに『般若心経』を読んだことのある人、書き下し文や口語訳・解説を読んだ人にお勧めの【 般若心経講話 】です。
 ただ、一般に流布している解釈や口語訳と比較すれば、私は最も簡単な解釈を提起しました。
 そういう意味では初心者向きです。
 『般若心経』を一度でも読んだことがあれば、《色即是空・空即是色》を説き、
 《ないないない。何にもない》と連呼する『般若心経』は「なんて難解なお経なんだ」と思われたことでしょう。
 その昔から現代まで、多くの僧侶・宗教家・哲学者・文学者が様々にその解釈を書いています。
 ところが、我ら凡人はそれを読んでも、なかなか意味がわかりません。

 なぜ『般若心経』はそれほどまでに難解なのか。理由はただ一つ、『般若心経』がコインの表だったからです。

 日本の硬貨は表に絵模様と漢数字、裏に洋数字が刻まれています。
 1円玉は若木、10円玉は平等院鳳凰堂、100円玉は八重桜、500円玉は桐の花と葉。
 しかし、もしも全ての数字が消されていたら、と考えてみてください。
 初めて日本に来た外国の人に、このデザインだけを示して、
「このコインは何円だと思う?」と聞いたら、頭をひねって適当に答えるしかないでしょう。

 実は『般若心経』とはこれでした。コインの絵模様がわかる表だけを見て、裏の数字はわからなかったのです。
 それゆえ、読んだ人は「これは1円だ」「いや10円だ」「そんなことはない100円だ、500円だ」と推理するしかありませんでした。あるいは、「値打ちがわからないことがこのお経の素晴らしさを表している」として、仏教の通説をあてはめることで『般若心経』を理解しようとしました。
 仏教の通説とは永遠なるものは何もないという《無常観》であったり、《ものは存在しない、我々があると思っているものは我々の心に映し出された像に過ぎない》という観念論(注※)の見方でした。あるいは、「『般若心経』はこだわりを捨て、執着を捨てて生きようと説いている」などと語られてきました。つまり、《無常》であり、《(煩悩からの)解脱》であり《(悟りを目指す)悟達》であると解釈したわけです。

 私は空海を研究する中で、『般若心経』が硬貨の表だったことに気づきました。
 そして、「では、硬貨の裏は何であるか」それも発見しました。
 これから、みなさんにそれを紹介して『般若心経』の真の意味を解き明かしたいと思います。
 しかし、このことがわかってみると、『般若心経』はなんて誤解されていたのだろう、なんて誤訳されていたのだろうと思います。仏教の通説に従ってこのお経を理解することは誤りなのです。
 さらに、誤解を正そうとする私の解釈は、『般若心経』が難解ゆえに、神秘的で貴重なものとして尊崇した方々を失望させるかもしれません。
 なぜなら、硬貨の表と裏を見通した私の解釈・口語訳はとても簡単で単純だからです。難解さも神秘さもありません。『般若心経』は宇宙や人生の深遠なる真理が描かれているわけではなく、生きる技術・方法が書かれています。苦しみに満ちたこの世を気持ちよく生きるにはどうすればいいか、その見方・考え方・感じ方が説かれているのです。

 どうか「そんな簡単な意味だったのか」とがっかりせず、それを知った上で『般若心経』と付き合ってください。私は仏教信者ではありませんが、朝晩となえて心を軽くしています(^_^)。
 なお、次の画面から「ジャバ・スプリクト」機能を使って文字が少しずつ現れるよう制作しています。
 その理由はゆっくり読みながら考えてほしいこと。途中を省略せずに読み進めてほしいからです。
 この機能を使おうとすると「パソコンに問題を起こすかもしれない」などと警告メッセージが出ることがあります。しかし、パソコンに障害を起こすことはありません。ウイルスの心配もありませんので、コンテンツ機能をオンにして読んでください。
 コラムの構成は以下の通りです。
  ==『般若心経』講話 目次 ==
 Ⅰ章 『般若心経』の真実…………全 6節
 Ⅱ章 裏版『般若心経』全文………全11節
 Ⅲ章 『般若心経』の誤解…………全 4節
 Ⅳ章 『般若心経』解説……………全11節

 一節はせいぜい十数行です。さほど時間はかからないと思いますが、一文字一文字出てくるので、最初はいらつくかもしれません。どうか、先をあせらず、ゆっくり読んでください。
 一画面の文字が出尽くしたら、もう一度読んで次の画面に進む→Ⅰ章を終えたら、Ⅱ章に進む前にもう一度Ⅰ全体を読み直す→そしてⅡに進む。この繰り返しがおすすめです。特にⅡ章は訳だけでも二度読んでからⅢ、Ⅳに進んでください。最終節でまたお会いしましょう。

 →御影祐ホームページ

  (『般若心経』講話の一番下に入り口があります)

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