« ダービー結果とほぞ噛み | Main | 宝塚記念、直前予想 »

2025.06.03

『空海マオの青春』論文編 後半 第33号

 「後記」一括掲載――人口半減を肯定する

 空海論文編前半ラストとして7節に渡って「『三教指帰』成立過程論」を紹介しました。
 各節本文がえれえ長いのに、後記がこれまた常識外れの長さとあってうんざりされた方も多いかと恐縮至極です(^_^;)。

 しかし、現代日本、いや世界においても大問題である「特殊詐欺、SNSのフェイク、誹謗中傷、リーダーの言うことを鵜呑み丸飲みする」――そのような風潮に対して一言言わずんば、てな気持ちの現れでした。

 ここで後記をまとめて掲載しておくことは日本の人口半減問題について考えるヒントとして、また『一読法を学ぶ』大切さを訴える意味でも意義あることと思えるので、後記全9回分をまとめて配信いたします。
[「9回もあったんかいぃ!」とつぶやいてください(^_^;)]

 文章をさーっと読み、人の言うことをぼーっと聞いてしまうC群から「あれっ!」とか「どういうことだ? なんかへんだぞ」とつぶやくB群へ。そして、自分が抱いた疑問をネット検索して答えを探るA群への道を。

 さらに一歩進んで、信頼でき、尊敬できる人の言うことをも「どうしてそう言うのか、疑ってみる」特A(^_^;)群に進んでほしいものです。

 私は一読法実践者としてA群を自負しているけれど、しばしばB群、C群に落ち、特Aへの「道いまだ遠し」と感じます。我らは常に成長途上であり、突き詰め、上り詰めることなどないのでしょう。棺桶の中に入ってさえも……。

 なのに、上り詰めたと勘違いするお偉いさんが某T(帝)大教授のように業者に銀座の接待を強要し、某大臣のように「私ゃ米を買ったことがない。支援者が送ってくれる」と漏らすのでしょう。

 彼らには《実るほど首(こうべ)を垂れる稲穂かな》の言葉を噛みしめてほしいと思います。

 ところで、「後記の話題と空海論と何か関係があるのか? なさそうだが…」
 ――とつぶやかれたなら、早速B群と認定いたします。
 私の無駄話(と思える記述)はちゃーんと計算されており、
 1 ときには今後の伏線として、
 2 ときには空海最終境のわかりやすい説明として書いております。
 3 もちろんほんとの無駄話であるときもあります(^.^)。「おいおい」てか?

 再度全「後記」を新たな気持ちで読み直し、本文は123のいずれにあたるか、考えてみてください。いくつか修正、追加しています。

[ここで一読法並びに『空海論』前半のまとめを熟読、通読された読者各位への復習問題。
 上記「空海最終境」――空海が到達した最終境地を漢字3文字で答えてください。〇〇〇です。

 えっ、「何だっけ? 思い出せない……」ですって?
 おやおや。あなたの目は節穴か。あなたの脳は穴の開いたバケツか(と私ゃ言いたい(^_^;)。]

 『空海論』前半のまとめ(五) 『三教指帰』成立過程論

 1 『聾瞽指帰』と『三教指帰』の比較    4月16日
 2 両著の「序」と結論部「十韻賦」の異同  4月23日
 3 『三教指帰』は全肯定の萌芽       4月30日
 4 なぜ両著の「本論」は同じなのか     5月07日
 5 『三教指帰』脚本化の試み        5月14日
 6 室戸岬百万遍修行における明星との交感とは   5月21日
 7 『三教指帰』の文学史的位置付け         5月28日
 8 おまけ「後記」一括掲載――人口半減を肯定する 6月04日

------------------
 本号の難読漢字 なし
------------------
***** 空海マオの青春論文編 後半 *****

 後半第33号 「後記」一括掲載――人口半減を肯定する


 後記[1]

 文中『古事記』の中でイザナミが「お前の国の人間を毎日千人殺してやる」と言い、対してイザナギが「それなら私は毎日千五百人生もう」と応じる話があります。国の成長を表しているでしょう。

 日本は長らく死者千人、出生千人が続いていました(奈良時代から室町時代までほぼ5~600万人)。それが260年の平和が続いたからでしょうか、江戸末期3千400万人まで増えました。そして、明治末5千万人となって1.5倍を達成しています。
 その後昭和、特に戦後ぐんぐん増えてとうとう1億2千万人まで来た。ところが、今後イザナギは七百人くらいしか産めず、数十年後日本は人口6千万人くらいになる……と騒がれています。

 こでちょいと違った観点を紹介(^_^)。
 この狭い国にちょうどいい人口って今の半分くらいかもしれません。
 世界で「日本と同じくらいの面積で6千万人ほどが住んでいる国はどこだろう」と探してみたら南欧スペインがありました。面積は日本の1.3倍。人口5千万人弱。
 あの国は陽気な人が多く、昼休みを2~3時間取ることで有名。
 なんとうらやましきスローライフ。

 対して我が日本は海のそばに住めば津波が襲う。河川沿岸に住めば豪雨洪水が家を押し流す。じゃあと高台の山の麓に住めば、土砂崩れや山火事が家を破壊し燃やしてしまう。
 もう平野部の都市に住むしかない?

 だが、都市はぎつぎつの人口過多にうんざりし、犯罪者に襲撃され、困った隣人に悩まされる。ウサギ小屋も高くて手に入らない。かと言って田舎はいずれぽつんと一軒家。
 ああ我ら日本人、どこへ行く……てか(^_^;)?


 後記[2]

 前節の後記について。「日本の適正人口とか半減したときのこと、スペインが近いかも」なんて話題を読んだとき、「一読法のわなが仕掛けられているかも」と気づいた人、果たして何人いらしたことか(^.^)。やっぱり「ぼーっと読んでいる」のでは?

 後記は「『古事記』イザナミ・イザナギの話→日本の古代から現代までの人口増→今後人口半減が予想される」と続き、「しかし、適正な人口は今の半分くらいかもしれない」との問題提起につながっています。「半減だ~大変だ~」と騒ぐことへのアンチメッセージです。
 これってあまり見かけない(コメンテーターが言わない)特異な意見だと思います。
「なるほど」とか「そうかなあ?」とか「それも一理ある」とつぶやいていいところ。

 ここで一読法読者なら、「人口が半分になったら、生活はどうなるんだろう。スペイン一人一人の暮らしはどうなんだ?」との疑問を抱きます。
 するとA群は「自分で答えを探してネット検索」を開始します。
 が、B群は疑問をつぶやいたとしても、何もせずそれで終わり(^.^)。

 自分が読んだ文章や人の話を聞いて疑問・感想をつぶやく――これが一読法の始まり。
 次にその疑問を自ら解こうと思い、行動を開始する(たとえば人に聞いたり、ネット検索して答えを得る)。これが真の一読法の実践。これぞ自力修行(^_^)。

 実は小中の子どもたちは現在多くの教科でこのような活動をしています。「課題(問題)解決学習」と言います。
 しかし、国語(現代文)だけは相変わらず「最初はぼーっと読んでいいよ。二度目にいろいろ考えなさい」という読み方(=人の話の聞き方)を教えている。

 かくしてたくさんのB群の大人が育つ。なぜなら、もう一度読まないし、人は同じことを二度喋ってくれない。そもそも疑問のつぶやきさえ出てこない。
 もっと言えば、もう文章は一切読まない! 長い文章は最初から敬遠する!
 ああ……てか(^_^;)? (「後記」2)


 後記[3]

 前節の後記について。最後に「後記2」とあるのを見たとき、「おやあ?」と目が止まったでしょうか。そして「はて、前の後記に[1]ってあったかな?」とつぶやいたり、「確か[1]ってなかったよな」と思う。1がなくても2と来れば、次は[3]。
 つまり、次回もこの件について語られそうだ――と推理できる。「これはわなかも」と思えば、もう一度「後記2」を読み返す。

 そして、A群(疑問やつぶやきを解決しようと行動する)とB群(何も行動しない)に分かれるなど、一読法の大切さが書かれているが、当初の疑問「日本の人口が半分になったら、生活はどうなるんだろう。スペイン一人一人の暮らしはどうなんだ?」に対して答えが書かれていないことに気づく(私から言うと「気づいてほしい」)。

 そーです。これが前節「後記2」の仕掛けであり、わなです。
 新たな疑問を書いているのに、答えがないわけです。どうしますか?

「どうでもいいや」と作者の答えを待つ(これぞB群)か。
「それなら自分でネット検索して答えを探してみよう」とネット検索する(これがA群)か。
 まー私と違ってみなさん多忙でしょうから、全員B群かもしれません(^.^)。

 そう言われても、「どうネット検索すればいいのかわからない」方のために、(やさしい作者だから)ヒントも書いてあります。「スペイン一人一人の暮らし」のところです。
 国全体の生活程度として「国民総生産(GDP)」の言葉は有名。もう一つ「一人当たりGDP」もあります。それで一人一人の生活程度を比較できます。

 さー自ら答えを探してネット検索するか、あるいは、B群であり続けるか。
 この《答え》は次号にて(^.^)。「後記3」


 後記[4]

 今回も前節の続き、「後記4」です(^.^)。

 そろそろ「御影よ。後記を長々連載するお前の狙いは何なんだ?」との疑問をつぶやかれたなら、その人にはさらに一読法段位昇進を認定します。

 後記1では「日本と同じくらいの面積で人口半分ほどのスペイン」を話題としたけれど、一人一人の暮らしがどうかは書かれていない。
 後記2でそのことを指摘し、「みなさんネット検索して答えを見つけますか」と書いたけれど、「めんどくせえなあ」とやらない人がほとんどでしょう。
 あるいは「やらない人はB群ですよ」なんてこと言われたら、意地でも「やるもんか」と拒否する人も一部(^.^)。

 それでも後記3の文末2行に至って「おや?」と思われた……かどうか。
----------------------------------
 さー自ら答えを探してネット検索するか、あるいは、B群であり続けるか。
 この《答え》は次号にて(^.^)。「後記3」
----------------------------------
 この《答え》とはスペインの暮らしぶりのこともあるけれど、それだけでないことも明らか。
 問われているのはA群に進むか、相変わらずのB群であり続けるか。

 これに気づけば、次節(=本節)配信前に「自分はどうするか」考えねばならない。
 が、問われていることに気づくことなく、何も考えないのがB群、C群(疑問をつぶやくこともなく、人の話やテレビ・本をぼーっと見ている・読んでいる。そもそも文章を読むことをやめた)人。
 一方、「ちょっとA群を目指してみようかな」と思う人はB群からの脱皮、A群への道を歩き始めると言えます。

 こうしたことを読み取っていれば、
「一体この後記の狙いは何なんだ?」との疑問が出てもいいところです。

 これに対する答えが以下。

 読者各位が特殊詐欺に引っかかることを防ぎたい――これが真の狙いです。

 今や特殊詐欺の被害総額は一昨年452億、昨年721億(前年比1.6倍)。毎月数十億の金が詐欺師集団に渡っています。
 異常だと思いませんか。そして、最近は高齢者だけでなく、中年や若者も(投資詐欺や架空請求詐欺に)引っかかって大切な虎の子を失っています。

 対して加害者である悪人はすでに世界規模になっている。一つの村が詐欺拠点であり、そこに各国から「かけ子」を集めてこき使うミャンマーの例が教えてくれました。
 彼らは「電話詐欺は儲かる」とばかりに組織化してランダムに電話をかけ(させ)、メールを送り続けています。

 独断であり偏見かもしれないけれど、私は詐欺に引っかかる人はB群であり、C群の人だと思っています。
 詐欺にかからないために大切な点は「疑問をつぶやき、人(やテレビ)の話を自分のこととして考える」こと。そのためにはA群に進まねばなりません。

 たとえば、電話の相手が「警察の者だが…弁護士だが…」と言ったとき「あれっ?」と思う。突然自宅を訪ねてきた人が「何々の検査に来ました」と言う。
 最近は古典的な「おふくろ、大変だ。事故った・恋人を流産させた」は減っているようだけれど、相変わらず続いてだまされているとか。

 いずれにせよ、この取っ掛かりから「おやあ?」とか「ほんとかな」と疑問を抱くこと。
 そのための訓練が一読法であり、A群への道だと言いたいわけです。

 「後記4」[次回でこの後記を終わります(^_^;)]


 後記[5]

 最終回となる「後記5」です(^_^)。
 実は「後記2」で終えるつもりでした。しかし、本章が旧稿のほぼ再掲載にすると決めたとき、「最近の話題を本論に採り入れづらい。せめて後記くらい読んでなるほどと思える話題を提供しよう」と思ってふくらませました。途中から喫緊の課題「特殊詐欺にかからないための根本的対策」に変えました。

 まずは結局ネット検索に進まなかったBC群読者(^_^;)のために「日本とスペインの生活比較」について。
 両国のGDP(国内総生産)と一人当たりGDPが以下。

 日 本GDP=4兆3700億ドル 一人当り=3万5千ドル(525万)
        (609兆2887億)
 西班牙GDP=1兆5800億ドル 一人当り=3万3千ドル(495万)

 国民総生産、日本は世界の4位、スペインは15位で日本の約3分の1です。
 ところが(見てわかるとおり)、一人当たりGDPに大きな差はない。

 一体「どーいうこと?」と思うけれど、かりに人口半減によって国民総生産が半分になっても、一人当たりGDPが今と変わらなければ、我々の生活も現在の生活水準を維持できる(と言えるかも)。

 何よりスペインはお昼休みを2、3時間取ってのんびり働いている。対して日本の都市市民は満員電車の通勤に往復2時間かけ、昼食休憩は辛うじて1時間弱。誰も「世界4位の金持ち国」などと思っていない。一人当たりGDP世界の37位というのが実感に合っています。

 ちなみに、世界1位の金持ち国(なのに「ビンボーだー、貿易不公平だー」と叫んでいる(^.^)アメリカのデータが以下。

 アメリカ(人口3億4千万、面積日本の26倍)
 GDP =26兆1900億ドル 一人当たり=7万8千ドル(1170万)

 が、アメリカのラーメン一杯3000円。
 トランプさん、物価を下げなさい。なぜ日本人がアメ車を買わないか。手が出ないほど高いからですよ。価格100万の軽をつくってくれたら、そりゃあ私だって(中古の)アメ車を買いますよ(^_^;)――と言いたいと思いませんか。

 そして、GDP世界2位の中国のデータが以下。
 中国(人口14億1900万、面積日本の26倍)
 GDP=19兆2400億ドル 一人当たり=1万3600ドル(204万)

 アメリカが貧富の差を解消できない資本主義国家なら、中国だってもはや共産主義とは呼べぬ貧富の格差大国。

 米中両国リーダーに言いたい。
 敵対して(いざというときのために)稼ぎを軍事費に使うのではなく、国民全体をもっと豊かにしなさいと。これって日本もそうですよね。


 後記[6]

 くどいようで恐縮ながら前節「後記」の続きです(^_^;)。
 どうしても補足したいことがあって書きます。

 以前一読法に進んで課題の解決をネット検索する人をA群。
 疑問は持つけど、めんどくさくて検索まで進まないB群。
 疑問のつぶやきを、つぶやくこともなく世の中をぼーっと眺めるC群。
 ――とまとめました。不愉快に感じた方がいらっしゃるかも。m(_ _)m

 『一読法を学べ』の中で、何度も書いたけれど、お忘れかもしれないので書きます。特にB群、C群の方へ。

 あなたがそうなったのはあなたのせいではありません。
 あなたが能力が低いからでも、怠け者だからでもない。
 小中、高校でA群の生き方を学ばなかったからです。特に国語で。

 もう一つ。日本の学校は「先生と学校に逆らうな。校則を批判するな」という生き方を教えました。「人に迷惑をかけるな」と教わりました。
 いじめられても「告げ口するな」と教わりました。
 先生が殴るのは「愛のムチだから耐えろ」と教わりました。

 だから、たくさんのB群、C群の大人が生まれました。

 この人たちは権威あるもの、人・組織に反抗できません。
 誰かに相談するのは相手に迷惑をかけることだから相談しません。
 そのような人間が「良い子」だと言われて育ちました。

 以前も書いたように、自転車に乗るには練習しなければ乗れません。
 水泳は練習しなければ大人になっても泳げません。

 同じように一読法の訓練を積んでいないと、突然警察から電話がかかってきて「あなたに犯罪の嫌疑がかかっている・カードが振り込め詐欺に使われている」と言われたとき――その場で直ちに考えねばならない。詐欺師は後で考えること、誰かと相談することを許してくれません。

 ゆえに、最初から「おやあ?」とつぶやかねばならない。
 もしも「すぐに対応しろ」と言うなら、「今忙しいので30分後もう一度かけてください」とか「こちらからかけます。電話番号を教えてください」と言う必要がある(大概これで切れるらしい)。
 もちろんはっきりと「あなたは詐欺師ですね。警察は個人に電話しませんよ」 と言ってもいい。

 あるいは、役場から「還付金が出ました。通帳の番号を教えてください」と言われる。「そりゃありがたい」とつぶやくのはいい。だが、「手数料が必要だから、?万こちらに振り込んでください」の言葉を聞いたとき、「何かへんだぞ」とつぶやけるかどうか。

 だからこそ日々一読法の訓練が必要だし、常々A群に進むことを心がけるべきだと思うのです。「あとで後悔しない」ために(^_^;)。(まだまだ続く)


 後記[7]

 前節後記末尾に「まだまだ続く」とあるのを見て「おいおい」とつぶやきましたか。まだ続きます(^_^;)。
 前節はB群、C群に対するアドバイスでした。ここはA群に対して。

 A群の方は疑問をつぶやく、ネット検索して課題の答えを探す。
 間違いなく一読法有段者。だが、批判的精神の持ち主としてはまだまだ(と思います)。

 たとえば、私は最初の後記(24節)において「日本の人口が半減したら」に関して「日本と面積が同じくらいで人口半分の国」としてスペインをあげています(面積は日本の1.3倍。人口5千万人弱)。
 この段階で次の疑問をつぶやいた人がA級上位有段者。

「なぜスペインなんだ? 他にないのかな?」と。

 その後国民総生産や一人当たりGDPを調べたなら、そこで終わった人と、この疑問の解決を目指してさらにネット検索した……かどうか。
 これもまた普通のA群か一つ上の一読法有段者となるかの境目。

 作者御影祐の言うことを疑う――ってことです(^.^)。

 御影祐はなかなかいいことを言っている、面白い見方も提示している。
 だから「信頼できる」(もしかしたら尊敬できる?)と思って御影祐を知人友人に紹介したり、彼の書いたものをそのまま人に送信したりする……。

「それでいいんですか? 大丈夫ですか?」と私は問うし、私なら「御影の書いたものにおかしな点、疑問点がないか検証」します。

 これぞ一読法の真骨頂。信頼できる人だからと言って《鵜呑み》はしない。

 ところが、日本も世界も教祖やリーダーの言うことを丸飲みする人のなんと多いことか。
 アメリカ花札大統領、日本小政党党首の誤解や誹謗中傷の言葉を疑うことなく垂れ流す……。残念なことであり、悲しいことです。

 後記の話題に戻ると、GDPや一人当たりGDPを検索すると、世界の順位一覧表が見つかったりして各国は世界の何位か知ることができます。
 同様に「世界の国別面積」と検索すると、「世界の国土面積 国別ランキング」などという一覧に出会います。

 面積のトップはロシア。2位カナダ、米国、中国……とあってずーっと下って行くと、
 62位ジンバブエ 39,076
 63位日 本   37,797
 64位ドイツ   35,760 ――とあります。

 そうか(米欧では)「日本の面積はドイツと同じくらいなんだ」とつぶやく。
 ではスペインは? 探せば53位にあります。
 スペインは日本の1.3倍。ドイツは日本の0.9倍。

 これでますます作者御影への疑問が継続されます。
 なぜスペインだったのか。

 この答えはさすがに自力で解決できません。
 作者に聞いてみるしかない。

 というわけで(この件に答えなきゃならないので)次号「答えの後記」に続きます(^_^;)。


 後記[8]

 前号の回答となる「答えの後記」です。
 作者御影祐への疑問――日本と同じくらいの面積で人口半分の国としてなぜスペイン を取り上げたのか。
 答えは「たまたま(見かけたコラムから)」(^_^;)。

 そのコラムは人口や国土面積のことではなく寿命の話題を取り上げていました。
 今日本人の平均寿命(84.26)は世界のトップです(2019年)。
 ひと月ほど前、あるネットコラムで「スペインの平均寿命は2040年までに85.8歳となり、日本を抜いて世界一の長寿国となる見込み」とあるのを読みました。

 その後ネット検索して「スペインの面積、人口、医療保険は?」などと調べ、面積は日本の1.3倍、人口は半分くらい、医療保険は国民皆保険、GDP・一人当たりGDPなどを探ります。

 特に「GDPは日本とかなり差があるのに、一人当たりGDPは大差ない」ことを知り、「日本はあと数十年で人口半減」と騒がれているが、一人一人の生活程度が現在と同じなら、大変大変と騒ぐほどのことだろうか――そのような思いで「後記」に書こうと思いました。

 同時に現在日本にとって大問題である特殊詐欺についても触れたいと思いました。
 一読法を学んでいないから、初対面の相手に対して「あれっ」とか、「なんかへんだぞ」とつぶやきつつ聞くことができない。

 話を聞きながら同時にどうするか考え、決めなければなりません。なのに、日本人は小中高(特に国語科)においてその訓練を積んでいない。
 みんな「まず全体をさーっと読みなさい=人の話は口をはさまず聞きなさい。考えるのは後でいいよ」と教わったからです。詐欺師はここにつけこみました。

 国語科は最初から考えながら読む、人の話を聞きつつ考える読書術(一読法)を教えてこなかった。
 日本人はだまされて当然の教育を受けさせられたことをもっと怒るべきだと思います。
 日本の国語教育のせいで「私は詐欺師にだまされ金を奪われた」と、政府・文科省・大学の国語教育者たちに損害賠償請求してもいいレベルの話です。

 また、学校や大人の「良い子」(言うことをよく聞く従順な人間こそ素晴らし い!)という教育も詐欺にかかりやすい人間を育てた、とふくらませたわけです。

 しかし、私は自作も一読法で読んでいます。
 再読中ふと「スペインの面積は日本の1.3倍だが、もっと近い国はないだろうか」との疑問を抱き、面積ランクを調べて(所謂先進国では)ドイツが最も近いことを知ります。
「これは一読法最後の罠にできる(^.^)」と思いついたのはこのときです。

 信頼している人の言うこと(書き物)であっても、疑問の言葉をつぶやき、「そうじゃないかも」と思ってさらにネット検索する――この大切さを訴えたいと思いました。

 [以下は今回の追加]
 たとえば、私が読者各位に「みなさんこの株を買いませんか。儲かりますよ」と勧めるとしたら……私の文章をよく読んでいる人なら、「おかしいぞ」とすぐ気づきます。フィッシングじゃないかと。
 しかし、最近A群(文章をよく読み、世の中のことを疑問を持って眺めている)人でさえ、詐欺に引っかかる例を知りました。それはエビでタイ釣る逆パターン。エビで釣られたのです。

 その人はあるサイトで「株の購入に参加すれば、元利保証で月利10パーセント」を知り、当初は怪しいと思った。でも、ホントかもしれないと思って10万振り込んでみた。すると、ひと月後11万になっていた。
 ここで「詐欺かもしれない」と疑ったので、引き落としを要求した。11万ちゃんと戻って来た。次に100万送金してみた。すると、ひと月後110万になっていた。「これは本物だ!」と喜んで1000万振り込んだ……最初がエビだと気づいたときには遅かったというわけです。

 もちろんネットにおける大きな問題――誰かさんの言う誹謗中傷をそのままおうむ返しに拡散するネット民への批判として書こうとの意図もありました。

 (長くなったので「も一つ後記」に続く)


 後記[9]

 も一つ後記。これをもって後記(ほんとの)最終回です。

 突然の余談ながら作曲家團伊玖磨氏のエッセーに『パイプのけむり』というのがあります。以前文庫本で数冊読んだことがあります。
 この原作は1965年から2000年まで週刊『アサヒグラフ』に1000回以上連載されたもので、単行本総数27冊(^_^)。その表題が面白いのです。

「1パイプのけむり」「2続パイプのけむり」「3続々―」はいいとして以後「又・又又・まだ・まだまだ…なお・重ねて・またしても…明けても、暮れても」と続き、27冊目「さよなら―」で終わります。
 これへのオマージュとして後記1~今節まで継続させました。
 今回で「さよなら」です。

 最後にドイツの関連データを(検索してほしいけれど)これで終わりにするため以下日本と対照させて列挙します。

 日 本(人口1億2000万人、面積377,915.00)
 GDP=4兆3700億ドル 一人当り=3万5千ドル(525万)
     (609兆2887億)
 ドイツ(人口8400万人 面積日本の0.9倍) 
 GDP=4兆5000億ドル 一人当り=5万4千ドル(810万)

 やっばり日本の一人当たりGDPは少なすぎる気がします。
 もっとも、目下1ドル150円前後だから、もしも1ドル100円ならドル換算では一人当たりGDP5万2千ドルとなってドイツとほぼ同じ。ドル対円=1か1.5倍は極端すぎるようです。

 他に気づいたことを列挙すると、
・ドイツの医療保険=国民皆保険だが、一定額を超える富裕層(約1割)は対象外。その人たちは民間の医療保険に加入しているとのこと。
・人口は日本の7割ほどだが、うち移民が1680万人で2割を占める。
 ということはいわゆるドイツ人は約6700万人。

 日本は厳密な意味の移民はなく、2024年6月末現在の在留外国人360万人弱。
 人口比約3パーセント。
 日本の人口が半減して6000万人になったとき、ドイツのように移民を2割増やすかどうか。そろそろ議論すべき時期だと思います。
 具体的な数字として在留外国人を(今の3倍)1000万人とすれば、日本人6000万+移民1000万=日本の人口7000万人。そのとき移民比率は14パーセント。

 これらのことを総合すれば、日本の面積と同程度で人口が半減したときの国としてはドイツが最もふさわしいことがわかります。
 ドイツは移民によって国力の減退を防いだと言えるかもしれません。が、今は「移民排斥」の国民感情に悩まされています。それはアメリカも同じ。

 このような世界の現況を見て日本人、特に政治家は「日本は移民流入を阻止して良かった~」と胸をなでおろしているかもしれません。

 その一方、「人口半減だー大変だー」と叫び、「もっと子どもを産んで産んで」と大合唱している。遅ればせながらの高校無償化、さらに大学無償化まで持ち出している。
 しかし、笛吹けど踊らず。国民はもはやそんな言葉にだまされることはない(と思います)。

 私の母方に9人の子どもがいる親戚があります(父も母も一人)。もちろん戦前から戦後の生まれ。9人は母の叔父の子であり、みな《母のいとこ》。末っ子は私と同年で同じ幼稚園、小学校、中学校に通いました。私はずっと彼は私のいとこだと思っていました(^_^;)。

 そのようにかつて子どもを6人も7人も産んで「富国強兵」に協力したら、我が子を兵士として失い、大空襲・原爆によって殺され、悲惨な目にあった。
 それに共稼ぎをしないと子どもを育てられない。むしろ共稼ぎ政策を採用し、都市の過密、田舎の過疎を放置した結果であれば、人口減は当然訪れる未来なんでしょう。

 敢えて申します。三読法通読に害された政治家は事態を通読(傍観)している。現状を分析する力も未来を読む力もない(か少ない)。何かあれば「想定外」の言葉を繰り出し、結局流れるがままに生きている……はさすがに言い過ぎ?
 政治家こそ一読法を学んでほしいと思うところです。

 さて、数十年後私はこの世にいないけれど、(仏教の輪廻転生説によって?)人口が半減した日本のどこかで生まれるとすれば……私ゃニンゲンには生まれ変わりたくない。
 空を飛ぶ鳥になって鳥として転生を続けたい、なんぞと考えるのです(^.^)。(終わり)


============
 最後まで読んでいただきありがとうございました。

後記:長い後記の最後に「まだ後記があるんかよお」とあきれてください(^_^;)。
 前置きで2つの質問を出しているので、その答えを書く……ための後記です。

 質問の一つは「後記の話題と空海論と何か関係があるのか?」。
 もう一つは「空海最終境」――空海が到達した最終境地を漢字3文字で」答えなさい。

 まず後半から。
 本稿を熱心に読んでいないとしても、今号の表題を見れば(表題読みは一読法で最も大切な読み方)答えはすでに出ている。

 そこには「『後記』一括掲載――人口半減を肯定する」とあります。

 空海の最終境地〇〇〇は[全肯定]でした。それはあらゆることを――楽しいこと、嬉しいこと、喜ばしいことはもちろん誰でも肯定できる。だが、いやなこと、不快なこと、辛いこと、苦しいこともまた肯定する。許して受け入れるという境地。

 このように説明すれば、最初の質問「後記の話題と空海論と何か関係があるのか?」の答えもまた明らか。
 全肯定の一例として「人口半減、特殊詐欺」の話題を取り上げたということ。

 数十年後の日本に間違いなくやって来る人口半減を肯定する。それが全体なら、個人にふりかかる詐欺にかかること、フィッシング詐欺に釣られて大切な虎の子を失うこと……それも肯定する、肯定できる。それが空海のとなえた全肯定です。

 ここで「人口半減はまだしも、詐欺で金だましとられたら、肯定できるわけなかろうが!」と叫ぶ。誰でもそうつぶやく。

 もちろんそれも肯定する。「受け入れられない、許せない」という心の思い(感情)も肯定する。
 だって全て肯定する《全肯定》なんだから(^_^)。あなたの感情を否定するわけありません。

 これを聞いて(読んで)怒りの矛先をそらされたような気が……。
「はて? なんか言いくるめられたような、妙な気持ち…」とつぶやかれたなら、その気持ちも肯定する。それでいいんですと。

 空海論後半本編はこの考え方と言うか感じ方をさらに深掘りすることになります。
 空海はどうやって全肯定の境地に達したのか。それは空海一人しか到達できなかったのか。我ら凡人には不可能なことなのか。ご期待ください。

|

« ダービー結果とほぞ噛み | Main | 宝塚記念、直前予想 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« ダービー結果とほぞ噛み | Main | 宝塚記念、直前予想 »